minor club house

ポプラ文庫ピュアフルから出してきたマイナークラブハウス・シリーズですが、以後はネットでやってくことにしました。とりあえず、版元との契約が切れた分から、ゆっくり載っけてきます。続きはそのあと、ボチボチとりかかる予定。

第七話 福岡滝、飛天山に幼なじみの闇を見る縁

第七話 福岡滝、飛天山に幼なじみの闇を見る縁 1

暗黙の了解 ~*はるやすみ・マイナークラブハウス・ごうどうがっしゅくのしおり*~ (作成・三浦光輝) 出発 : 4月2日 到着 : 4月4日 (2泊3日) 滞在先 : 飛天山の天野んち (飛天村ハ-7番地) 集合 : 2日am6:30 那賀駅三番ホーム (2880円分の切符を買って…

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ウシさん模様のハイエース 途中で鈍行に乗り換えて、さらに2時間。 列車の中で駅弁を食べて、昼過ぎにようやく、飛天神社駅に到着する。改札を抜けるとすぐ、春の日差しに輝く飛天山が、視界いっぱいに広がって見えた。 なだらかな丘陵の上に、カラフルなパ…

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苛立つ人と苛立たせる人 バンの中で、本宮・兄はずーっとひとりだけハイで、女の子ばかり狙って、マシンガンのように喋り続けていた。 「彼氏はおるんか? おるんじゃろう? え、おらんのか? そうかぁおらんのかぁー。」 「好きな男はどんなタイプじゃ? ブラピ…

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訳ありの心配 初等部2年生で転校した後の数年間、晴一郎は、おじいさんとおばあさんと一緒に、このお屋敷で生活していた。 彼が中学へ上がる頃、おじいさんが亡くなった。おばあさんの足腰も弱くなって、田舎暮らしが難しくなってきたため、もう少し便利な…

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『経験』 今日は他に食料を用意していない、と言うので仕方なく、あの兄が経営しているというレストランに、夕食を取りに出掛ける。 「ゆっくり歩いて、50分くらいでしょうか。」 という晴一郎の言葉に、最初、ばりばり文化系のマイナークラブハウスの面々は…

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ヒーロー見参 草原の中、こんもりとした木々に囲まれて建つ、煙突つきの大きなログハウスを見て、一同、唖然とする。 あの兄がやってる牧場のレストランなんて、どんな下世話な外観かと思っていたら……。 「かーっこいーいじゃーん! これってまさか、セルフビ…

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第2の記憶 「どうじゃった? 口に合うたかの?」 ラストオーダーが過ぎた頃、白ワインのカラフを持って、ヒーローがやってきた。 「改めて、こんばんわ。本宮瑛一です。」 コック帽をとって、軽く頭を下げる。さっきお店のお客さんに見せていたのと同じ、きび…

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真夜中の女の子 ふと、目が覚める。 冷えこんだ部屋の中で、慣れない綿布団に包まって、滝は、暗闇に目を凝らす。 日本家屋の低い天井に、青白い灯りが、ちらちらと揺れている。寝返りを打つと、隣の布団で美優先輩が、携帯を開いてメールを打っていた。 そ…

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交換条件 「天野がいない!」 と叫ぶ高杢の声で、脳が一気に、レム睡眠から戦闘レベルに切り替わる。 「なんだよ?」 「どうしたんだ?」 「起こそうと思って、部屋に行ってみたら、返事がないんですよ。それで空けてみたらカラッポで、部屋の空気も冷たいし、…

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恐ろしい予感 もらったパンも、持ってきたお菓子類も食べ尽くし、さすが暇つぶし名人揃いのマイナークラブハウスの面々も、退屈と空腹に押しつぶされそうになった頃、ようやく表で、待ちかねたバイクの音がした。 「帰ってきた!」 「ホントに連れてきてるか?…