minor club house

ポプラ文庫ピュアフルから出してきたマイナークラブハウス・シリーズですが、以後はネットでやってくことにしました。とりあえず、版元との契約が切れた分から、ゆっくり載っけてきます。続きはそのあと、ボチボチとりかかる予定。

2013-07-07から1日間の記事一覧

10

引責問題 時計が4時を回っても、チビどもは帰ってこなかった。 「おっせーなー……おれ、あそべねーじゃんか……」 と、ミサキがゴネて、そこらへんの床を、ゴロゴロとむやみに転がりはじめる。 「そうね、ちょっと遅いわね……。ナオ、まりあの携帯に電話してみ…

9

父と息子 カツサンドを腹いっぱい食ったミサキと、DSのマリオカートで対戦していたら、固定電話が鳴りだした。 「ナオ、出てー。おかーさん今、手が離せないー。」 「こっちも離せねーんだよ……って、あ、ミサキてめー! 青ガメ投げゃーがったなこんちくしょー…

8

心と口が繋がる、頭を無視して と、覚悟していたのに、目を覚ましたら、10時を過ぎていた。 妙にすっきりした頭で下りていくと、キッチンに、鶏ガラスープの匂いがいっぱいに立ちこめている。徹子(41)がキッチンで、ル・クルーゼの鍋いっぱいに、乱切りの野…

7

真夜中の四角い画面 「姉ちゃんだけずるい、おれらだって、ケロッピーと一緒に寝たい!」 と双子がゴネまくって、結局、リビングで4人を雑魚寝させることになった。 「すると……黒々とした淵のほとりから……なにか、ひらべった~いものを、力任せにひっぱたく…

6

おいしい食べ方 「というわけで連れてきた。」 と、奈緒志郎が、ぴの字の頭を小突いて紹介すると、 「おっ……おじゃまいたいしたって……これ、たべま……」 と、緊張しまくりのぴの字が、小さな声でもごもご挨拶しながら、青々としたキャベツを一玉、おずおずと…

5

ヤキソバいくついる? それからチビどもは、4時間、遊び倒した。 最初、帰るわよ、帰るわよ、帰るわよと言い続けていたまりあも、中盤頃には諦めて、ため息をつきながら静観し初め……最後はなんと、一緒になって騒ぎはじめた。演劇部室に所狭しと吊り下げられ…

4

日常降臨 生け垣の周囲には、前・園芸部長、エリちゃんが植えていったハーブ類が、現・園芸部長、天野の手で刈り込まれて、きれいな模様の花壇になっている。 奈緒志郎が名前を覚えているのはのは、せいぜいミントとタイム、それに去年の初夏、大騒動を引き…

3

淋しいのは好きか? 「合宿ぅ?」 うらうらと暖かい中庭のベンチに並んで腰かけて、できたてのタンコブをさすりながら、泣いていた理由を聞く。 「全員が行っちゃったのか? お前ひとりだけ残して?」 「…………。」 「どこへ?」 「…………。」 「どこへ行ったかさえ知…

2

親愛の表現! 今週がどうしても外せなかったのは、妹のまりあの、桃李学園中等部入学式と、双子の弟、透と吉宗の小学校の入学式が、折悪しく重なってしまったからだ。 高橋家は、奈緒志郎を頭に、まりあ、透、吉宗の四人きょうだい。 商社勤めの父、敦彦(42)…

第六話 髙橋奈緒志郎、捨て子拾いの血を知る縁 1

女の子の望み 「あたしと自分の家族と、どっちが大事なの?」 という、1年越しの彼女からの質問に対し、高橋奈緒志郎は、 「それはもう、自分の家族が大事に決まっている。」 と、ばか正直に即答し、ぱちーんと頬をひっぱたかれる。 「ちょ、ちょっと、ちょ…